#06 恋するカレン その2 「恋するカレン」の元曲は、声優グループ・スラップスティックの1979年のアルバム用に大瀧さんが提供した「海辺のジュリエット」です。彼らへの提供作品のうち、「われらスラップスティック!」 や「スラップスティック見参!」といったギャグ・タイプの曲は、いわゆる詞先で制作され、「海辺のジュリエット」、「星空のプレリュード」、「デッキチェア」というメロディ・タイプの曲は、曲先であったようです。 「恋するカレン」の冒頭、「キャーンドールをー くーらくしーて」以下の部分で透けて見えてくるのは、デイヴ・クラーク・ファイヴ(The Dave Clark Five)の「悲しみこらえて」(HURTING INSIDE)です。彼らの英国での1965年のセカンド・アルバム「CATCH US IF YOU CAN 」に収録されています。日本では、米国盤シングルのA、B面をひっくり返してリリースされたようです。大瀧さんはコチラの方で出会ったのでしょうか。 つづく、「きーみーが彼のせなーかに」以下の部分は、サーチャーズ(THE SEACHERS )の歌う「Where have you been 」を下敷きにしているようです。この曲は、サーチャーズの1964年のサード・アルバム「IT' S THE SEARCHSERS 」に収録されています。ナイアガラーにはおなじみの作家コンビ、バリー・マンとシンシア・ウェルによる名曲「恋は何処」(Where Have You Been All My Life)が、カスタネットを印象的に鳴らしたサウンドで、名カバーにトリートメントされています。 「1964年は、エルヴィス蒐集を友達に任せて、私はリバプール勢をせっせとコレクトしていた時期だったのです」と大瀧さんが語っていましたが、その頃に聴いたマージー・ビート(リバプール・サウンド)の傑作バラードを紡いでみたのが「海辺のジュリエット」、のちの「恋するカレン」ではないかと思うのです。 ドラマ「ラブ ジェネレーション」の主題歌に「恋するカレン」のような曲を、と所望されて、大滝さんが思い浮かべたのが、「海辺のジュリエット」を作曲したときの想い出ではないでしょうか。 |
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