#01 恋のナックルボール

 2003年 3月28日の「巨人−中日」戦、東京ドームにおける前田投手の登板シーンで、「恋のナックルボール」が流れました。
 これをさかのぼること1週間、3月21日の新宿ロフトプラスワンでのイベントで萩原健太さんから、その「恋のナックルボール・裏話」が明かされました。
 ここに、その内容を再構成してお知らせします。

 音楽評論家の能地祐子さんは前田幸長投手(ロッテ→中日→現・巨人)のファンだそうです。(ファンである選手は他にもいるのですが…)
 その能地さんのところへ、東京ドームの音楽をかける担当者から「前田投手のテーマ曲として何かいい曲はないか」と相談がありました。そこでフッと、「前田投手は日本球界では珍しくナックルボールの使い手である」ことを思い浮かべた能地さんは、「大滝詠一さんの恋のナックルボールはどうでしょう」と勧めました。

 担当者はキャンプ地の宮崎へ飛び、前田投手に聴かせたところ、「いいよ、これでいくよ」といったん快諾を得ました。ところが…。
 となりで聴いていた某選手が、「でも前田さん、これ、カーン!と打たれてますよ。指がすべって青空に消えたとかなんとか言って」とツッコミを入れました。
 あややや…。



 この話が大滝御大の耳に入り、「それでは打たれてないバージョンをつくろう」という展開になったとのこと!
 こうして生まれたのが、「恋のナックルボール 前田幸長バージョン」(プロデュース: by YUKO NOHJI、歌:ニークロ大滝)なのです。

 以上!

 ところで、ニークロって、ユニクロの親戚?っていう方のために少し解説を…。
 フィル・ニークロはナックルボールの名手で、大リーグで318勝を挙げ、48歳まで現役投手でした。数年前には、野球殿堂入りを果たしました。そのナックルボールは、あまりにもゆらゆら揺れるので、特大ミットを捕手に用意することもあったほどといいます。

 柳沢きみお氏の作品に、「男の自画像」という、「東京セネタース」を舞台にした連載ものの野球漫画があります。いったんプロ野球投手をリタイアした主人公が、海の向こうで47才になってもなお現役ピッチャーとして活躍するフィル・ニークロ(当時インディアンス)に触発され、『6年のブランクを経て』(ここ、ナイアガラーの反応するところ)、ナックルボールを武器に見事球界復帰を果たし、勝利を挙げるというストーリーです。

 いやあ、こうしてみますと、今の大滝さんにぴったりのネーミングだと思える「ニークロ大滝」ですが、これって、どっちも苗字?



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