堺正章


忘れもの

 2008年、主演ドラマ「無理な恋愛」の主題歌を堺正章自ら歌ったのが名曲「忘れもの」です。作詞は秋元康ですが、作曲と編曲は、堺正章と同じ系列の芸能プロダクションに所属するGajinと清水信之があたっています。
 この「忘れもの」からは、「ナイアガラ路線」が読み取れる気がします。エレキギターのカッティングは、「幸せな結末」で聴かれるそれと音色もパターンも同じで、曲の構成も「A − A’− B − A”」であり、やはり両曲で一致しています。フィーチャーされているマンドリンのバッキングは、「幸せな結末」のメインの下敷き曲である「TRUE LOVE NEVER RUNS SMOOTH 」のサウンドと符合しています。
 そもそも「忘れもの」の曲調もメロディラインも、ナイアガラ・フォロワーズの王道をいく印象で、当然、カスタネットも控えめながら鳴っているのです。
 清水信之のアレンジによって、ナイアガラ・ファンに懐かしさを感じさせるサウンドに仕上がっているこの曲において、その路線を決めるブレーン役を務めたのは、いったい誰なのでしょうか?



日置明子
Scarlet


 1995年にTM NETWORKの木根尚登と清水信之の作・編曲コンビによって、日置明子のシングル曲として提供されたのが、「Scarlet 」です。
 この曲、マイナーな曲調や旋律、カスタネットの鳴るアレンジも含めて、いわゆる「さらばシベリア鉄道」のフォロワータイプの曲としては、3本の指に入る出色の出来ばえになっています。
 後に梨園の隠し子騒動の際に、彼女の名前が出てきた時にはたいそう驚いたものです。


木根尚登
二人だけの海

 1997年の「加山雄三トリビュート・60キャンドルズ」で木根尚登は、「二人だけの海」を歌っています。編曲を手がけているのは清水信之。
 このアレンジとサウンドが、ナイアガラーの心をつかむ素晴らしい響きを放っています。シンプルな演奏ながら海よりも深いエコーに乗って、木根尚登の朴訥としたボーカルが胸の奥底にしみこんで来るのです。
 ちなみに、このトリビュート企画には大瀧さんも多羅尾伴内楽団名義の「ブラック・サンド・ビ−チ」で参加していますが、木根版「二人だけの海」では、ナイアガラ本家のお株を奪うエコーサウンドが展開されているというわけです。



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