ナイアガラサウンド研究会

#01 「恋のプレッシャー（仮）」

　「使われたかな、プレッシャーっていうタイトルを…」（大滝）

　1984年の年明け、渋谷陽一の「ＦＭホットライン」に大滝さんが出演しました。その際、「イーチタイム」用にレコーディングされたオケが、番組内で流れました。
　実はこの曲、今日まで世に出ることなく、ファンのあいだでは、「イーチタイムの未発表曲」として有名です。アップテンポな三連符を基調とした佳曲だったのですが、確か「うまく歌詞がのらなかったので」という理由で、イーチタイムに収録されませんでした。
　曲の４分ほどを経て、二拍三連の間奏にさしかかったあたりで、こんな会話が交わされました。

大滝「ここんところの三連がまた…」
渋谷「もー大滝詠一していますね」
大滝「こういう音象はね、これは…」
渋谷「病気ですね、完全に病気ですね」
大滝「あそこを活かしたいがために前半の４分がある」

　なんらかの形で、ぜひ完成させて私たちの耳に届けてほしい名曲です。

　この「イーチタイム未発表曲」の前半部分は「ばーばーばー馬場こずえのしんしんしん深夜営業」でおなじみの「土曜の夜の恋人に」（「MORE NIAGARA FALL STARS」収録）をリメイクして使っているのではないでしょうか。「明けりゃ　もうすぐ　楽し　日曜日　おぎくぼびじんのこずえさん　土曜の夜の恋人に」の部分です。
　同じく「MORE NIAGARA FALL STARS」の「Cyder B type」も、ちょっぴり入っていますか…。

　転調してからの、サビの部分は「メタル・グルー」だと思うのです。「T.REX」の。
　「イーチタイム未発表曲」と「METAL GURU」のサビのリフレインを、「せえのードン」で流すと、ぴたっとハマリます。
　「イーチタイム未発表曲」の「ッジャーン　ジャジャン　ジャーンジャーン」と、「METAL GURU」の「アーアーアーアー」という、それぞれの「つなぎ」の部分もつながっていますし。

　ナイアガラとT.REXの取り合わせって意外な感じもしますが、T.REXのマーク・ボランは、フィル・スペクターの名曲「逢ったとたんに一目惚れ」を「TO KNOW YOU IS TO LOVE YOU」としてカバーしています。大滝さんは、同じ穴の狢を感じたのかもしれません。
　実際に歌い出しの「メルグ、ルゥ　イッズィ　チュー」（METAL GURU IS IT YOU）っていうところの「メルグ　ルウッ」の部分を聴いて、想い起こすのが、「青空のように」（大滝詠一）です。

　「猫の目　君の顔　くるくる　変わるたび」の、「ねこのめっ」や「くるくるっ」っていうフレーズの譜割り（リズム）のヒントに、「メルグ　ルウッ」が、なっていると思うのですよ。
　だって、「GURU」と「くるっ」ですしね！