#05 研究篇 その4

 「幸せな結末」のサビ、「踊り出す街に 二人の今を」のあたりのメロディを聴いて、「ハートじかけのオレンジ」を思い出した人もいるかもしれません。「時報通りに 目覚ましベル」と歌われるところの「時報通りに」と、「踊り出す街に」の旋律が同じだからです。これを「ナイアガラ・デジャヴュ現象」と呼びます(笑)。

 ナイアガラ・アイドルとして(?) 、大滝さんの曲とも関わりの深いシェリー・フェブレー(SHELLEY FABARES )のナンバーの中に、「Ronnie, Call Me When You Get A Chance」という曲があります。この作品の中で、「踊り出す街に 二人の今を」に似たメロディが聴かれます。
 意識的に下敷きソングとして用いたのか、あるいは、大滝さんに潜在的に染みついていた旋律がにじみ出してきたのか、は分かりませんが…。
 意図した引用であれば、「チャンスをゲッツしたら、私に電話して、声をかけて」、そんな女性からの呼びかけのフレーズという意が、込められているのでしょうか。

 サビの後半、「夢に描いて 見つけた夜明け」という切ないメロディを聴いて想起されるのは、某男性歌手の名曲「メリーにメッセージを伝えてよ」という曲です。まるで、「Call Me 」という女性の気持ちに呼応するかのごとく、「彼女にメッセージを…」と歌に託す男性の想いが、そこに継がれているようです。

 ドラマノ視聴者は、「恋の障害は、素直に好きと言えないことだけ」というシンプルなドラマのキャラクターに感情移入できました。同時に、そこに差し入る主題歌の歌唱には、複線に束ねた大滝さんの「深い思い」が込められており、それらが相乗効果を生み出した結果、「幸せな結末」は多くのリスナーを獲得していったのでしょう。

 「メリーにメッセージを届けてよ」という曲は、「ROCKPILE」という4人組が、名カバーを残しています。「スペクター・フォロワーズ」のコーナーでも紹介したデイブ・エドモンズが、そのメンバーのひとりです。
 この曲と大滝さんの音楽人生との縁に思いをめぐらせる時、「幸せな結末」に込められたと思われる大滝さんの「ある決意」に、心を揺り動かされるのですが…。

「その5」につづく…。



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