鈴木哲彦


いちばん近い場所
アルバム「いちばん近い場所」収録


 影響を受けたアーチストとして大滝詠一や佐野元春を、好きなアルバムにロングバケイションを挙げていたシンガーソングライターが、鈴木哲彦です。特にデビュー曲の「少年のまま」と、スマッシュヒットを放った本作「いちばん近い場所」は、ともに、十川知司の編曲による超名曲でした。
 マイナーサビの歌い出し、スネアドラムの4つ打ち…と、おそらく「バチェラーガール」の影響下にあると思われる「いちばん近い場所」は、重厚なアレンジ、ナイアガラでもおなじみの一流ミュージシャンの演奏、アノ岩崎元是も名を連ねるコーラス群…などに盛り立てられ、ナイアガラ・ファンの鑑賞に十二分に堪える佳作に仕上がっているのです。
 鈴木哲彦には、ナイアガラトライアングルvol.3にも起用されようかというくらいに、SONYの期待が込められていたようですが、音楽ルーツが洋楽ではなく純粋にJ-POP(大滝の他には尾崎豊など)にあったことや、サウンドプロデュースを全面的に十川知司に頼っていたためか、「ポプコン系列のシンガーソングライター」の殻を破れなかった感があります。
 現在、ソニーとの契約は切れている鈴木哲彦ですが、彼の才能を評価している十川知司は、作曲ユニット『expo(エキスポ)』を二人で結成し、Every Little Thingらへの楽曲提供を行っています。
 その活躍ぶりは以下のサイトで知ることが出来ます。

『鈴木哲彦オフィシャルホームページ』
http://www2.plala.or.jp/tetsu-s/tetsu-top.htm



岡本真夜
おやすみダーリン
アルバム「Smile」収録

 岡本真夜の大ヒットシングル「Tomorrow」の編曲を担当したのは十川知司でした。キャッチーな仕掛けがありながら奇をてらわない、精緻でありながらポップスの王道を行く、そんなサウンドで、聴く者を心地よくさせてくれるのが、彼のサウンドプロデュースの特徴だと思います。
 CHAGE&ASKA「SAY YES」、class「夏の日の1993」などの大ヒット曲、あるいはASKA(飛鳥涼)の隠れた名曲「月が近づけば少しはましだろう」等でも、十川知司は素晴らしいアレンジワークを披露しています。
 「おやすみダーリン」では、岡本真夜の魅力をうち消すことなく、「君は天然色」調の3連リズムで、軽快なサウンドを聴かせてくれています。曲の終盤では、このタイプの曲にはお約束である、「ピアノの高音で三連符」のフレーズも、忍び込んできます。分かっているけど控えめにやっている、というところに微笑んで
しまいます。



宇都美慶子
ロージィルージュがサラダ娘に
アルバム「誰にもわからない私の痛み」収録

 アルバムの中のとある1曲でも手を抜かないという、十川知司アレンジの「いい仕事」が、輝きまくっているのが、この「ロージィルージュがサラダ娘に」です。
 ミックスダウン・エンジニアに吉田保氏を迎えており、東京ドームに武道館を継ぎ足したような音場の、奥深いホールエコーも響き渡っています。おまけにアノ岩崎元是もコーラスに参加し、かくして蟻の子一匹通さない重厚なサウンドがここに、完成しています。
 ナイアガラーにもファンの多い岩崎元是のアレンジワークに、十川知司との仕事が、好影響を及ぼしているかもしれない…、というのは、私の推測です。
 それにしても、保さん、エコーかけ過ぎです!(^^)。



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