NINO TEMPO & APRIL STEVENS


ALL STRUNG OUT

 兄妹デュオ、ニノ・テンポ&エイプリル・スティーブンス(NINO TEMPO & APRIL STEVENS)は、米国ナイアガラ・フォールズ市で生まれました。ナイアガラーは思わず、生地に親しみを感じてしまいます(笑)。
 本アルバムは、スペクター・サウンドでおなじみのスタジオ、ゴールド・スターにて、スペクターのセッション・メンバーを集めて録音されました。そう、ニノ・テンポ自身もフィル・スペクターの下でセッション・ミュージシャンとして活躍していたのです。
 故に名曲ぞろいです。大滝さんの「Water Color 」に影響を与えた「YOU'LL BE NEEDING ME BABY 」をはじめ、ライチャス・ブラザーズの有名曲「フラレた気持ち」の次作候補曲だった「ALL STRUNG OUT」、なぜかコーラスに大滝さんそっくりの歌声が聞こえる(?)「I CAN'T GO ON LIVIN' 」など、聴きごたえ十分です。
 スペクター・フォロワーズの「THE PARADE 」のコーナーで紹介したジェリー・リオペルも、スペクター門下生の同期の桜という訳で、3曲の共作者として名曲を提供しています。



SONNY & CHER
LOOK AT US


 ソニー・ボノ。彼もまた、「フィル・スペクターになりたかった男」のひとりです。99年に米国で制作された映画「SONNY & CHER」では、スペクターに憧れ、やがてそのスペクターの下で働くことになる模様が、興味深く描かれています。
 妻であったシェールと1965年に発表した本作も、ゴールド・スター・スタジオで録音されたものです。スペクターの曲のカバーも披露していますが、著名曲「BABY I LOVE YOU 」への愛情が感じられる「JUST YOU」などは、心惹かれるものがあります。
 ちなみに、ジャッキー・デシャノン、サーチャーズ、クローバーズなどが歌った超名曲「ピンと針」は、ソニー・ボノとジャック・ニッチェによる共作曲です。Jポップにも、この曲の印象深いイントロに影響を受けたと思われる作品が散見されます。



JACKIE TRENT & TONY HATCH
IF YOU LOVE ME


 「幸せな結末」研究にも登場したトニー・ハッチの奥様、ジャッキー・トレントが、 '64年に発表したセカンド・シングルは「IF YOU LOVE ME (REALLY LOVE ME) 」でした。フレンチの名曲「あなたの燃える手でー私ーを抱きしめてー」を英訳してカバーしたものです。これがまた、見事なウォール・オブ・サウンドでした。英文資料にも「the full Phil Spector treatment」で料理され、上手くいってるよ! と書かれています。
 当時は、スペクター・イミテーションのガールズ・ポップが量産された時代だったと思います。ちょうど、ロング・バケイションの後の'80年代Jポップのような状況と言いますか…。
 ちなみにこの曲は、特別企画にも登場していただいた細田引水さんもお気に入りです。







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