PHIL CORDELL


I WILL RETURN
Essential Recordings(1969−1986)


 5つの変名を使い分け、オーバー・ダビングとエコーによる独特のウォール・オブ・サウンドが特徴的で、1970年代を中心に活躍した「一人多重録音」職人、それは、フィル・コーデルです。
 特に1980年の曲「Move A Little Closer」は、フォー・シーズンズ調のメロディに重厚な音壁をほどこし、ナイアガラ・ファン号泣間違いなしの名作です。なんてったって、アルバムのタイトルが「戻」なんですから、ナイアガラーは、これを聴かずにいられようか、否いられない…なのです。



DAVE EDMUNDS
SUBTLE AS A FLYING MALLET


 なぜか、スペクター・ファンなら誰もが知っている有名なフォロワーが、デイブ・エドモンズです。「Da Doo Ron Ron」、「Baby I Love You」、「Born To Be With You」など、フィル・スペクター直系の名曲をこのアルバムの中で見事にカバーしている彼は、ほとんどの楽器を自分で演奏し、エンジニアリングも自らしています。
 ウォール・オブ・サウンドを作ろうかという時、スペクター・セッションのように多人数を集めて一発録りするか、あるいは、一人ないし少人数でコツコツと多重録音するか、に大別されると思います。前者の代表はナイアガラ・セッションで、後者の例としてはロイ・ウッド(ROY WOOD)が有名でしょうか。



SONDRE LERCHE
FACES DOWN


 「ノルウェーから現れた19歳の宅録系天才シンガー・ソング・ライター」というふれ込みで、ソンドレ・ラルケは注目されています。類まれなソング・ライティングのセンスはアメリカでも絶賛されているようです。
 デビューアルバムの中の1曲「SLEEP ON NEEDLES」は、スペクター・ファンの中には、題名からして名曲「針とピン」を思い浮かべる人もいるかもしれません。彼は1960年代のポップスにも影響を受けているそうで、エンディングで聴かれる「ビー・マイ・ベイビー」を思わせるリフや、それに合わせハル・ブレインを意識してがんばっているドラミングには、ニヤリとしてしまいます。





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